加速器を知るAbout Collider

素粒子 vs 複合粒子

新発見が得意:ハドロンコライダー

ハドロンコライダー

陽子同士の衝突と、電子・陽電子衝突
クオーク複合体としての陽子・陽子衝突は衝突エネルギーを大幅に高めることができる一方で、衝突反応が複雑になり、解析が難しくなる。素粒子単体同士の衝突である電子・陽電子衝突は、クリーンな実験を実現することができる

衝突型加速器は、衝突させる粒子の違いで分類されます。

すでに欧州で稼動している欧州合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)は「陽子」と「陽子」を衝突させる加速器です。陽子は素粒子ではなく、3つのクォークからなる複合粒子です。陽子のような複合粒子同士を衝突させると、衝突エネルギーを大幅に高めることが可能になります。これまで探索できなかったエネルギー領域に到達することができるため、新しい粒子の発見に力を発揮します。

しかし、陽子と陽子の衝突で観測したいのは、陽子の中の素粒子同士の衝突反応です。陽子の中の1対のクォーク同士がぶつかると、それ以外の陽子の中身の素粒子も一緒に飛び散ってしまい、余分な反応(ノイズ)となりなります。そのため、それぞれの素粒子同士の衝突がどこで起きたのか分かりにくく、実験結果を解析するのが難しい、という欠点もあります。

複合粒子同士を衝突させる加速器を総じて「ハドロン・コライダー」と呼びます。

詳細な観測も新発見も:レプトンコライダー

ILCは「電子」とその反粒子である「陽電子」を衝突させます。電子も陽電子も、それ以上小さくできない素粒子です。素粒子には中身がないので、衝突したときに余分な反応がおきないことが大きな特徴です。ノイズの少ない衝突現象を観測することができるので、精密な観測に圧倒的な優位性を発揮します。また、最初から素粒子同士を衝突させるため、衝突時にどれだけのエネルギーを持っていたのかが明確にわかるため、クリアな実験結果を得ることができ、解析も容易です。これもILCの大きな利点です。

ILCのような素粒子同士を衝突させる加速器は「レプトン・コライダー」と呼ばれます。

加速器による素粒子物理学は、ハドロン・コライダーとレプトン・コライダーの両者による相乗的な成果で発展してきました。ILCはLHCとの相乗的な役割が期待されています。LHCは、ヒッグス粒子の発見という目覚しい成果をあげました。そこで、ヒッグス粒子の性質等の詳細を調べられるILCの早期実現に大きな期待が寄せられているのです。

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