Prospectus趣意書

先端加速器科学技術推進協議会設立趣意書

超伝導空洞イメージ図 マルシー:Rey. Hori
超伝導空洞イメージ図 マルシー:Rey. Hori

 宇宙創成・進化・終焉の謎、我々はどうして存在しているのか、宇宙とそれを形作る物質・空間の謎への探求は、まさに有史以来の人類共通の知のフロンティアへの挑戦です。人類は宇宙を観測し、宇宙へ行き、そして、「加速器」により宇宙の初期状態を再現することでこれらの謎に挑んできました。

 「必要は発明の母」の言葉の通り、ひとつの大きな目標のために頭脳と技術が集約されるとき、そこからは思いも寄らなかったものが生まれます。この大いなる挑戦で得られた発見からはエレクトロニクス や原子力エネルギーを生みだし、見えないものを「見る」ための新しい技術の発明は、医療・薬剤・生命科学・新素材などの世界を一変させてきました。「反物質」を含む放射線技術は現代医療を支えてい ます。インターネット革命を引き起こしたワールドワイドウエブもこれまで世界最大の加速器(周長27km)を持つ欧州の素粒子研究所(CERN)で世界の研究者を結ぶために発明されたものです。

 その最先端として、全長三十キロメートルを越える地下トンネルに新しいタイプの加速器を創り上げる 「国際リニアコライダー」構想があり、ここからまた更に新たな知と技術の地平を拓こうとしています。この計画の中核は超伝導による粒子線の加速技術であり、この技術は同時に触媒反応や生体反応に新たなメスを入れ、次世代の電池・薬品・材料の開発、更には核廃棄物の分離処理技術まで21世紀を支える新しい技術基盤ともなると期待されているところです。今、最先端量子加速器の技術は新たな展開の機を迎えています。

ILC完成予想図 マルシー:Rey. Hori
ILC完成予想図 マルシー:Rey. Hori

 グローバル化の中で世界における日本・アジアの主体性をいかに発揮するかが問われて久しく、また最近のOECDなどの調査でも日本の若者は挑戦することへの意欲が乏しいという状況が明白になっています。知や技術のフロンティアを求め中国・インドなどアジア諸国の多くの研究者・技術者が欧米で 研究するために移住し続けています。多くの課題を抱える中、政・官・有識者および産・学の連携により、具体的なモデルケースをもとに科学的・技術的、そして人類の課題に挑戦することは21世紀の日本・アジアの将来の新しい形を提示することになると考えます。若者だけでなく全ての世代が本来もつ夢や好奇心を今一度涵養し、科学と技術への挑戦意欲の回帰を促すことは、日本とアジアの将来にとって大いなる希望となるでしょう。

 本協議会では「国際リニアコライダー」計画を中核のモデルケースと定め、政・官・有識者および産・学の連携により、戦略的な観点を基に最先端の「量子加速器」の技術開発による宇宙・素粒子・物質・生命分野における人類の知の地平の開拓、医療・エネルギー・環境問題など世界規模の課題への新しい対応、そして先端科学・技術による国際競争力の強化を目指して参りたいと存じます。またこの目的のため、最先端の基礎科学と技術の社会への発信と理解の促進、アジアをはじめ国際的な 連携の方策や知財の課題などにも取り組んで参りたいと存じます。趣旨を御理解頂き、是非ご参加賜りますようお願い申し上げます。

平成二十年二月吉日
発起人一同

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