ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

最新情報

2017年02月07日

東経連新長期ビジョン/「オール東北」の意義深めて

河北新報

東北経済連合会(海輪誠会長)が2030年を目標年次に、新潟を含む東北7県の将来像と戦略を描く新しい長期ビジョン「わきたつ東北~結び、はぐくみ、未来をひらく」をまとめた。
戦略の大きな柱は「地域社会の持続性と魅力を高める」「稼ぐ力を高める」「交流を加速する」という三つ。八つの重点項目と30に上る具体策を挙げた。
従来のビジョンはどちらかと言えば「理念先行」だったが、今回は実効性に力を入れたのが特徴だ。3カ年中期事業計画(アクションプラン)を年度内に策定し、毎年度、達成度を検証しながら成果に結び付けていくという。
実施主体となる東経連の役割も明記したのも、これまでとは異なる点だ。それだけ、組織全体として取り組む意気込みが感じられる。まずは「画餅」に終わらせないよう、盛り込んだ具体策の着実な実行を求めたい。
東日本大震災以降、深刻化する人口減少と少子高齢化を前提に、新しい価値観に基づく東北の将来像を提起した。問題は実現に向けて、どうアプローチするかだ。
もはや、公共インフラ整備などハード偏重の「キャッチアップ型」の取り組みでは、東北の置かれた厳しい環境を乗り切れないのは明らか。
豊かな自然環境・農林水産資源や、整備が進む高速交通ネットワーク、アジアとの交流拡大に向けた地理的優位性など、東北の持つ潜在力を生かした「持続可能な地域づくり」を目指したのは当然の方向だろう。
そこには「垣根」を越えて、という発想がある。確かに官民の役割分担の境目は必ずしも明確でなくなってきている。さらには自治体の境界を越えた対応でなければ、克服できない課題も少なくない。
このため、産学官に金融を加えた広域連携事業の推進を掲げた。意見を交わす場として位置付けたのが、7県の知事や企業、地銀のトップでつくる「わきたつ東北戦略会議」(仮称)。ただ、同じような連携組織はこれまでもあり、違いをどう打ち出していくのか、独自性が問われよう。
新しい産業の創出も、東北にとって不可欠だ。超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」と東北放射光施設の誘致は、新製品の開発や産業集積などの面で、大きな波及効果が期待できる。産学官金が結束して機運をさらに盛り上げていきたい。
「東北は一つ」という理念の継承を改めて掲げたことは、一体感の乏しさへの裏返しでもあろう。新潟は関東志向が強いとされるし、各県でも「わが県ファースト」の意識は依然として根強い。
何よりも東経連が旗振り役となり、「オール東北」で取り組むことが結果的に各県の利益につながることを、これまで以上に行動で示していくことが求められる。