ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2016年05月15日

未知の粒子探す新実験 スイス・CERN本格稼働

岩手日報

「ヒッグス粒子」の発見でノーベル物理学賞に貢献した欧州合同原子核研究所=CERN(セルン)、スイス・ジュネーブ=の大型円形加速器(LHC)で、今月から人類にとって未知の粒子を探す実験が本格スタートした。実験には約100人の日本人研究者も参加。実験の成果は新たなノーベル賞や、本県の北上山地(北上高地)が建設候補地になっている国際リニアコライダー(ILC)計画の今後にも影響するとみられ、全世界の注目が集まっている。

LHCは、スイスとフランス国境の地下に設置された1周27キロという世界最大級の円形加速器。水素の原子核である陽子をほぼ光速で加速して衝突させ、宇宙誕生のビッグバンに匹敵する高いエネルギー状態を生み出し、そこから飛び散る粒子を調べている。

従来の約2倍に当たるエネルギーでの衝突実験を目指し、約2年間の改修を経て、昨年6月から運転を再開。今月から本格的な実験に入っている。

これまで人類が発見した物質は宇宙全体の4%にすぎないといわれている。残る96%は謎のままで、今回の実験で、正体が分かっていない「暗黒物質」の謎に迫るような新粒子の発見が期待されている。昨年からの実験で、新粒子を示す可能性のある兆候が出ているといい、数カ月後にはその結果が判明する見通しだ。

世界から約3千人の研究者が集まる中で、日本人研究者は約100人。ヒッグス粒子を検出した解析装置「アトラス測定器」による実験を行っている。

検出器の責任者、長野邦浩さん(45)=高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所准教授=は「新粒子が見つかったら間違いなくノーベル賞。毎日、興奮しながら実験を進めている」と充実した表情。

新粒子の発見は国際競争でもあり、解析グループのリーダーを務める江成祐二さん(39)=東京大素粒子物理国際研究センター助教=は「これまでの理論にないような発見も十分にある。歴史の一ページになる研究であり、ぜひ日本チームで発見したい」と意気込む。

LHCは素粒子の塊である陽子と陽子を衝突させる。非常に高いエネルギーで実験ができるメリットがあるが、本県への誘致を目指すILCは、初めから素粒子の電子と陽電子を衝突させるため、反応がクリアで精密な実験が可能になる。

長野さんは「ここでの実験成果によってILCの価値もさらに高まる」と指摘し「将来は自分も岩手で研究がしたい」と期待する。

報道部・榊悟が今月、スイス・ジュネーブでCERNなどを取材した。