ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2015年07月19日

空白域 地質調査へ ILC 衝突エリアの大東・興田

岩手日日新聞

住民に概要説明

次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の国内建設候補地となった県南部の北上高地(北上山地)の地質調査に向けた地元住民への説 明会は18日、一関市大東町の興田市民センターで開かれた。2012年度に続く調査で、今回は年内をめどに中心部の衝突点が想定される興田地区の未調査区 域を調べる。中心エリアの地表部からの調査は今回でほぼ終了する。

地質調査は施設建設に必要な地下データを得るのが目的。今回は候補地に選定される以前の12年度に国の予算で行った調査で空白域となっているエリアを対象に東北大と県が実施する。調査費は約2000万円。

説明会には地元住民約30人が参加。東北大大学院理学研究科物理学専攻の佐貫智行准教授がILC計画の概要や地質調査の趣旨、受託業者の担当者が調査概要について説明した。

調査は▽弾性波探査▽電磁探査▽ボーリング調査▽地表地質踏査-の4種類。

弾性波探査は同町鳥海字上野-中川字畳石、鳥海字菖蒲沢-沖田字前田野の各1・2キロを調査ラインに、深さ10メートルほどで発破を行い震動の伝わり方を測定。電磁探査は中川字畳石-沖田字前田野の2キロを対象に、電流から発生した電磁波の伝わり具合を測る。

ボーリング調査は両探査の結果を基に場所を1カ所選定し、円筒状に深さ140メートルまで岩盤をくりぬく。地表地質踏査は、ボーリング地点付近を歩いて露出している地層や地形をチェックする。

調査期間は弾性波探査と電磁探査が8月、地表地質踏査は9月、ボーリング調査は9~12月を予定している。

参加者からは調査への理解を示しつつも、地下の巨大施設で行われる実験の地上、人体への影響について不安視する声が聞かれた。佐貫准教授は「放射 線は人間被害がないよう遮蔽(しゃへい)をしっかりする。それが設計のコンセプト」「放射能汚染物質の最終処分場に利用されるのではという話は考えられな いこと。個人的にはあり得ないと思う」と強調。「地上に設けるのは(地下施設の)熱と水を逃がす施設。自然破壊につながらないよう設計していく」とも語 り、理解と協力を求めた。

12年度の調査では、強固な花こう岩の岩盤が一帯に広がっていることが確認され、ILC建設に最適であることを改めて裏付けた。

ILCは、電子と陽電子をほぼ光の速度まで加速し衝突させる大型の線形加速器。世界で唯一建設される国際プロジェクトで、将来延長50キロ、第1 期延長は31キロ。文部科学省の有識者会議が誘致の諸課題について検討している。検討結果を基に、政府は17年度か18年度に誘致の可否について判断する とみられる。