ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2015年04月27日

ILC誘致とまちづくり「住民自ら考える場を」(中央大の石川幹子教授)

胆江日日新聞

国際リニアコライダー(ILC)立地評価会議で社会環境基盤専門委員を務めた中央大学理工学部の石川幹子教授はこのほど、東京都文京区の同大学後楽園 キャンパスで胆江日日新聞社の取材に応じた。石川教授は「ILCを取り巻く都市デザインは国や科学者が考えるものではない。地元住民が自ら考え、豊かな自 然や歴史・文化といった『地域の財産』に気付き、世界に向け発信しなくてはならない」と指摘。住民参加型のワークショップなどを通じ、候補地周辺の地域が 持つ潜在的な良さを生かしたまちづくりを進めるよう提唱している。
(児玉直人)

ILC計画をめぐっては、素粒子物理学の研究者組織が科学的意義を強調。産業界でも経済的波及効果や関連産業への参入に期待を高めている。文部科学省では、日本誘致判断の参考材料を検討する有識者会議が諸課題の検証を進めている。
ILCを誘致する上では、まちづくりも重要な要素となる。国際都市形成という過去に例のない対応が求められ、構想を練るには相当の時間と議論が必要になることが予想されるが、表立った動きや議論の盛り上がりはない。
行政や大学の一部関係者の担当者レベルでは内々に検討が進められている。奥州市は今年12月中に、まちづくりビジョンを策定する予定だが、その方針は3月下旬に市議会に説明したばかりだ。
石川教授は「のぼり旗や看板を設置して地元の熱意を伝えているが、何か空回りしているような気がする。それに科学的意義や経済的発展など、いわば一部分だけの話題で盛り上がっているかのようだ」と指摘する。
巨大なプロジェクトを迎え入れる上では、環境や人口減、社会資本の老朽化といった時代が抱える課題を考えなければならないという。「今までの地域は拡大路 線を歩んできた。今後は持続可能な社会と地域固有の文化の継承、そして震災復興を意識する必要がある。北上山地に潜在的な魅力があり、それを生かしたまち づくりをすることに地域の皆さんは早く気付いてほしい」と訴える。
具体的な取り組み方法として石川教授は、住民参加型のワークショップを提唱。 地域の豊かな自然や散居集落といった景観、そこに根付いた文化や地場産業などを財産と位置付け、次の世代に財産を引き継ぐための方途や対策を考えていくと いう。小さな集落単位で行われるワークショップの積み重ねが、地域全体の大きな都市計画を形成していく。
「外国人の研究者たちを迎え入れ、彼ら の生活を支えるのは地域の役目であり、研究者組織や国にはできない仕事。地域の方々が考えて実践し、世界に発信しなくてはいけない」と石川教授。「ILC が来る来ないに関係なく、地域の将来を考える取り組みは必ずやらなければいけない。住民と行政、大学などが一緒になって意見を交わし、その結果を発表し 合ってほしい。ワークショップは、出だしさえしっかりすれば、意外とおもしろい。ぜひ実践してほしい」と呼び掛けている。