ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2014年08月19日

未来へのアルピニズム ILC誘致 夢と現実(7)【日本学術会議ILC計画フォーラムより】

胆江日日新聞

大志抱きつつ現状も見よ 人文社会学の観点から(今田 高俊氏)

核廃棄物の話に通じることでもあるが「核変換」という技術を生み出せないかという話もある。加速器技術を使い、放射性物質の半減期を縮小できる可能性を模索している。
ILCの誘致を検討する上で、私は「夢」と「現実」双方から国民的議論をする必要があると考える。
宇宙の謎を解明するのは、人類にとってまさに「夢」。一方で現実的な面に目を向けると、莫大な費用と多数の人材育成が必要。なかなか難しい問題だが、日本は先進国としてのプライドを持って、何とか合意形成を働きかけてほしい。
合意形成の進め方はいろいろある。だが、お金で片を付けたり政治的な力を用いたりするやり方は、しばしば人々の心を踏みにじってきた。プロジェクトの素晴らしさや人類にとっての有益さを啓発し、説得する戦略の展開が必要だ。
今回の学術フォーラムもその一環だろうし、各地ではサイエンスカフェや出前授業なども行われている。そうした取り組みの積み重ねでILC計画の意義はPRできる。しかもILCはリスク中心の話ばかりではなく、夢の話が多い。興味関心は抱きやすい。
最後に、ILC計画の対立候補になりうるプロジェクトを紹介したい。アメリカ国立衛生研究所(NIH=National Institutes of Health)の日本版をつくろうという構想だ。
少子高齢化が進み、健康医療問題が大きな関心を呼んでおり、財政的な問題も引き起こしている現実がある。そのような時、国や国民はILCと日本版NIHのどちらを選ぶだろうか。「自分たちの命と健康」なのか、それとも「基礎科学の夢を実現すること」なのか。
余裕さえあれば両方実現できれば最高だ。しかし、今の状態だとせめぎ合いになってくるのではと感じる。何とか知恵を出し、両立可能な案を考えていくことも必要ではないかと思う。
(駒宮幸男氏の講演につづく)