ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2014年01月04日

国内候補・北上山地今年の展望(中)国際都市形成復興貢献も

河北新報

ILCは巨大プロジェクトとなることから、国際協力で世界に一つだけ建設することが研究者の間で合意されている。実現すれば、最先端の研究環境を求めて 世界中から研究者が集まり、国際都市の形成が予想される。関連産業の集積や教育レベルの向上など波及効果は計り知れず、東日本大震災からの復興にも貢献で きると期待される。

<ビッグバン再現>
ILCは奥州、一関、気仙沼の3市にまたがる花こう岩の岩盤体の中に建設する。地下 100メートルに掘る全長31キロのトンネル内に、超電導加速器を直線形に並べて設置。最大50キロまで延長できる。両端からほぼ光速まで加速した電子と 陽電子のビームを正面衝突させて、宇宙誕生時のビッグバン状態を再現する。研究対象は、衝突で生じる新たな粒子だ。
その一つが、2012年7月、欧州合同原子核研究所(スイス)で発見され、世界的ニュースとなった「ヒッグス粒子」。万物の重さを決める粒子とされ、その詳しい特性などをILCで調べる。「暗黒物質」といった未知の粒子を発見する可能性もある。

<建設費は8300億円>
加速器本体や研究所などを合わせた建設費は、10年間で約8300億円。半分程度を建設国が負担し、残りを他の参加国が分担する方法が想定されているが、 公式には何も決まっていない。日本政府が誘致の意思を世界に示し、各国との国際交渉を経て計画の枠組みを決める必要がある。
初期投資を抑えるため、必要なエネルギーの半分の250Gev(ギガ電子ボルト)で始める方法も検討されている。その場合の建設費は約24%減の約6310億円。250Gevはヒッグス粒子を調べるのに最適とされ、研究状況を見て段階的に性能を向上させる。

<雇用25万人創出>
東北ILC推進協議会の試算では、ILCの経済波及効果は建設から30年間で4兆3000億円、雇用は約25万人に上るという。建設や運転、メンテナンスに必要な企業が張り付き、関連産業の集積や技術革新による産業創出も見込む。
施設の周辺に滞在する外国人研究者や職員は常時約3000人、その家族も含めると約1万人規模の人口増加となる。ILCを観光の拠点とする「科学ツーリズ ム」や教育旅行などで交流人口が増え、地域の国際化が進むとされる。国内外から若い研究者や学生が集まり、次代を担う人材の育成につながるとの期待も大き い。