ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2013年11月18日

風土計

岩手日報

「手術で後輩の執刀を指導するには3倍もの労力が必要。しかし同じ分だけ自分も成長するもんです」。お世話になった外科医から、以前こんな話を聞いたことがある

▼外科医は当時四十代半ば。年間100件前後の手術をこなし、最も脂ののった時期を迎えていた。人命を預かる立場、失敗は許されない。人に教えるよりも、自分でやった方が早い。少なからずこんな思いを抱いていたとしても不思議はない

▼返ってきた答えは明快だった。「教える側に立てば、また別な新たな発見がある。自分の足りない部分も分かる。患者さん、病気、仲間から学ぶことばかりです」。よどみない物言いに、一本取られた思いだった

▼本紙の記者たちが中学生対象に国際リニアコライダー(ILC)の出前授業を行っている。もともと取材して書くことが本業。人前で話すことは試行錯誤の連続だが、子どもたちの反応は上々のようだ。何より素朴な疑問が新鮮だ

▼先日開かれた盛岡市・北松園中での授業。「なぜ実験施設は地上に造らないの?」「既に外国に円形加速器があるのに、どうして直線加速器も必要なのか」。なるほど、ごもっとも。鋭い

▼これから何をどう伝えるかヒントは満載だ。未来を向く子どもたちが吹かせる「風」は意外に手ごわい。謙虚に耳を傾けたい。