ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2013年10月08日

ノーベル物理学賞にヒッグス氏ら

NHK

ことしのノーベル物理学賞に、すべての物質に質量を与える「ヒッグス粒子」の存在を半世紀近くも前に予言したイギリス、エディンバラ大学のピーター・ヒッグス名誉教授ら2人が選ばれました。

スウェーデンのストックホルムにある選考委員会は日本時間の午後7時45分ごろ、ことしのノーベル物理学賞を発表しました。
選ばれたのは、イギリスのエディンバラ大学のピーター・ヒッグス名誉教授と、ベルギーのブリュッセル自由大学のフランソワ・アングレール名誉教授の2人です。
2人は、すべての物質に「質量」を与える「ヒッグス粒子」の存在を1964年に予言しました。
ヒッ グス氏らの理論によればおよそ138億年前、宇宙が誕生したビッグバンの大爆発によって生み出された大量の素粒子は、当初質量がなく自由に飛び回っていた ものの、その後、ヒッグス粒子が宇宙空間をぎっしりと満たしたため素粒子がヒッグス粒子とぶつかることで次第に動きにくくなり、物質を構成しました。
「ヒッグス粒子」は、その後半世紀近くたっても発見されませんでしたが、日本を含めた国際的な研究グループが去年7月、巨大な加速器を使った実験でヒッグス粒子を発見しました。
ヒッグス氏らの研究は、宇宙の成り立ちを解明するうえで重要な手がかりをもたらしたと高く評価されていました。

「受賞は当然」「21世紀の物理学の幕開け」

ヒッグス名誉教授がヒッグス粒子の存在を予言する重要なきっかけとなったのは、5年前に同じくノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎さんの理論でした。
南部さんは、ヒッグス氏らの受賞が決まったことを受けて、特別栄誉教授を務める大阪市立大学を通じてコメントを出しました。
こ の中で南部さんは、「素粒子の世界をつかさどる標準模型というものの骨格ができてから50年ほどになり、その正しさはすでにほとんど全部検証されている が、その中のヒッグス粒子というものの存在だけは今まで分かっていなかった。今回スイスにある大きな加速器を使って長年努力した結果、ヒッグス粒子を発見 したという功績に対しノーベル賞が与えられたことは、誠にめでたし、めでたしです。この実験には日本をはじめ各国の学者たちが参加しており、彼らにも祝意を申し上げます」とコメントしています。
また、素粒子の理論で5年前にノーベル物理学賞を受賞した、高エネルギー加速器研究機構の小林誠特別栄誉教授は、「ヒッグス粒子は、現在の素粒子の基本的な理解である『標準理論』の基礎を構成するもので、今回の受賞は当然だと思う。受賞者の方々にお祝い申し上げたい。今後さらに詳しく調べることで、次に進むための非常に重要な手がかりになる」と話していました。
同じくノーベル物理学賞を受賞した益川 敏英さんは「理論の上ではヒッグス粒子はあるものという前提で研究が進められてきたが、最終的には実験で存在が裏付けられなければならない。実験をする研究者は大変だなと思ってきた。今後は、理論屋と実験屋を組み合わせて賞を出しても、いいのではないか」と話していました。
一方、素粒子物理学が専 門の東京大学の村山斉教授は、「当然のノーベル賞で、この2人が受賞しなくて誰が受賞するのかと思っていました。ヒッグス粒子が見つかったことで、現代物理学の標準理論はひとまず完成しました。一方で、ヒッグス粒子は今まで誰も見たことのない性質を持っています。今回のノーベル賞は、20世紀の物理学の集大成であると同時に、21世紀の物理学の幕開けでもあります」と話しています。

「ILCの誘致に弾み」

ヒッグス氏らのノーベル物理学賞の受賞が決まったことについて、ヒッグス粒子の詳しい性質や未知の粒子を調べる施設として国内外の研究者が新たに建設を検討しているILC=国際リニアコライダーの国内候補地の選定に関わった東北大学大学院の山本均教授は「ヒッグス粒子を高感度で分析し ヒッグス粒子が生まれる詳しい仕組みを調べるなど、宇宙の成り立ちを解明するのにILCは欠かすことができない。今回のノーベル賞の受賞でILCの役割が 注目され、高い技術を持つ日本への誘致に大きな弾みになる」と述べ、誘致の取り組みが進むことに期待を寄せました。
ILCの国内誘致を巡っては、日本学術会議が各国の費用の分担など決まっていないことが多いなどとして、「現時点では誘致は時期尚早」だとしていて、文部科学省も誘致に慎重な姿勢を示しています。