巨大「加速器」日本に誘致を

2012年10月24日

NHK ニュース

未知の素粒子の解明に使われる「加速器」という巨大な実験施設を日本へ誘致するためのシンポジウムが24日、東京で開かれました。

「国際リニアコライダー」と呼ばれるこの実験施設は、地下に設置する全長30キロのパイプの中で、光とほぼ同じ速さに加速した電子と陽電子を衝突させるもので、ヒッグス粒子などの素粒子の詳しい性質の解明などに使われることになっています。
24日はこの実験施設を日本に誘致するためのシンポジウムが東京で開かれ、はじめにことし7月、「ヒッグス粒子」とみられる素粒子を発見したCERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関のロルフ・ホイヤー所長が講演しました。
この中で、ホイヤー所長は「新たな粒子を見つけたらその正体を突き止めなければならない。ヒッグス粒子とみられる新粒子が見つかったことで、国際リニアコライダー計画は極めておもしろいものになるだろう」と話しました。
続いて、産学官の代表者によるパネルディスカッションが行われ、誘致が実現すれば世界中の研究者が日本で生活することから、「外国人が安心できる医療や教育などの環境を整えることが重要だ」などといった意見が出されていました。
国際リニアコライダーについては、再来年以降に各国の協議で設置場所を決め、2020年代半ばの完成を目指すことになっており、スイスやアメリカなどが誘致に名乗りを上げているほか、国内では東北の北上山地と九州の背振山地が候補地となっています。

巨大「加速器」とは

日本が誘致を目指す巨大な「加速器」とは、どのような実験施設なのでしょうか。
現在、世界最大の加速器はスイス・ジュネーブ郊外のCERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関にあります。
1周27キロの円形で、東京の山手線に匹敵する規模です。
ことし7月には、この加速器で現代物理学の標準理論で予言された最後の素粒子「ヒッグス粒子」とみられる粒子が発見されました。ただ、この加速器では、新しい粒子は発見できても詳しい性質まで調べるのは難しいとみられています。
それは、円形の加速器のため、粒子を加速する際に失うエネルギーが大きいためです。
そこで計画されたのが日本が誘致を目指す加速器で、全長30キロの直線のトンネルの中で、電子と陽電子を光とほぼ同じ速さで衝突させるリニアコライダーという加速器です。
施設の建設費は8000億円に上る見込みで、誘致した国はそのおよそ半分を負担しなければなりません。
しかし、完成すれば世界中から研究者やメーカーの関係者が集まり、経済波及効果は4兆円とも試算されることから、世界各国で誘致に向けた動きが始まっています。
これまでにスイスやアメリカ、ロシアなどが名乗りを上げ、日本からも岩手県の「北上山地」と福岡県と佐賀県にまたがる「背振山地」が候補地として海外の専門家の視察を受けています。
今後は再来年以降に各国の協議で設置場所を決め、2020年代半ばの完成を目指すことになっていて、誘致活動の行方が注目されます。