ILC、政府見解は「前進」 エバンスLCC代表インタビュー(岩手日報)

2019年3月28日

ILC、政府見解は「前進」 エバンスLCC代表インタビュー

 国際リニアコライダー(ILC)計画を推進するリニアコライダー・コラボレーション(LCC)のリン・エバンス代表(英国)は27日、岩手日報社の単独インタビューに答え、文部科学省が7日表明した政府見解について「(実現へ)前進した」との見方を示した。中国で検討が進む大型加速器構想について「一番の脅威」と説明。ILC実現に向けて日本政府に対し、年内に一層踏み込んだ態度を示すよう強く求めた。

同省が国際将来加速器委員会(ICFA)の会議で「現状で誘致の表明に至らない」とする一方「関心がある」と表明したことに、エバンス氏は「行政府の前向きな発言は初めて。前進したと見なしている」と評価した。その上で「国際研究者コミュニティーは少なくとも5年間、日本の前向きな声明を待った。もしも今後さらに前向きな声明がなければ、今年の終盤以降、検討を続けていくのは難しくなる」と強調した。

日本学術会議が課題に挙げる巨額の建設コストについては「国際的な経費分担について欧州との議論に力を入れなければならない。大きな課題だが、世界がILCを支持しており、解決は可能だ。重要なのは、議論を本格的に始めることで、日本から積極的に働き掛けてほしい」と望んだ。

日本が誘致した場合「ILCレベルの研究所は多くの人が現地滞在しないと建設も、運営もできない」として数千人規模になると予測。「科学的効果があるのは確かで、経済波及効果の大きさはCERN(欧州合同原子核研究所)の例を見れば明らかだ」と述べた。

ILCと競合する大型加速器構想が海外で検討されている状況に触れ「中国が一番の脅威だ。ILCの方が優れているのは明らかだが、中国で実現の可能性が高いとなれば研究者はなびく」と懸念を示した。

LCCは、世界の主要な加速器研究所の所長らでつくるICFAの実働組織。インタビューは東北大大学院理学研究科の山本均教授の協力で、インターネット通話サービス「スカイプ」を通じて行った。