第2回 先端加速器科学技術推進シンポジウム in 京都

 

宇宙創成・進化・終焉の謎、宇宙とそれを形作る物質・空間の謎への探求は、まさに有史以来の人類共通の知のフロンティアへの挑戦です。人類は、宇宙を観測し、宇宙へ行き、そして「加速器」により宇宙の初期状態を再現することで、これらの謎に挑んできました。日本は、小林・益川両先生のノーベル物理学賞受賞を支えた加速器「KEKB」や世界初の小惑星探査機「はやぶさ」の偉業達成が示すように、いずれの分野でも世界最先端の科学技術を駆使して貢献しています。本シンポジウムでは、「宇宙を観る、行く、創る」をキーワードとして基礎科学研究における日本の具体的な取組みと将来への展望を紹介し、今後大型加速器を使う国際リニアコライダー計画において日本が果たすべき役割と意義について理解を深めます。

 

会場のようす

 

日 時=平成 22年10月30日(土) 13:30 ~ 17:00(13:00 開場)
会 場=京都リサーチパーク(KRP)バズホール(西地区 4号館)
    京都市下京区中堂寺粟田町93 番地
主 催=京都大学化学研究所 先端加速器科学技術推進協議会
後 援=宇宙航空研究開発機構 高エネルギー加速器研究機構
入 場=無料/定員300名

プログラム
1 開 会
2 主催者挨拶
3 講 演
  『宇宙の謎を解き明かす 最先端科学』 
    東京大学 素粒子物理国際研究センター 准教授 山下 了
  『ビッグバンを再現する究極の加速器 国際リニアコライダー計画』 
    高エネルギー加速器研究機構 機構長 鈴木厚人
  『世界初 小惑星探査機「はやぶさ」 60億km 宇宙往還の旅』 
    宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部 教授 川口淳一郎
4  パネルディスカッション:『日本の英知が宇宙の謎を解く』
  パネリスト:講演者及び京都大学 教授 野田 章  
  モデレーター:多摩六都科学館 館長 高柳雄一
5  総括質疑
6  閉 会

 

  • 時任所長

    京都大学
  • 山下准教授

    東京大学
     
  • 鈴木機構長

    KEK
  • 川口教授

    JAXA
     
  • 野田教授

    京都大学

     

  • 高柳館長

    多摩六都科学館

     

2010年10月30日(土) 京都リサーチパークにて 第2回 先端加速器科学技術推進シンポジウム in 京都『宇宙の謎に挑む 日本の貢献 「はやぶさ」から「国際リニアコライダー」へ』 を開催致しました。今回の先端加速器科学技術シンポジウムは、関西圏では初めての開催。会場は約200名の参加者でほぼ満席となりました。開会に先立ち、時任宣博京都大学化学研究所長が挨拶され「今日は夢が広がる話を聞いて良い気分になれれば」と述べました。

 

シンポジウムは、東京大学 素粒子物理国際研究センター 山下 了准教授による基調講演「宇宙の謎を解き明かす 最先端科学」で始まりました。山下氏は、「宇宙に行く」「宇宙を観る」「宇宙の始まりを創る」をキーワードに、世界で行われている宇宙の謎に迫る最先端の研究を紹介。その流れの中で日本がどのような活躍をしているのか概説しました。

 

引続き、高エネルギー加速器研究機構の鈴木厚人機構長が『ビッグバンを再現する究極の加速器 国際リニアコライダー計画』の講演で、宇宙の誕生の謎やその解明に向けた加速器をつかった研究について解説しました。これらの研究開発活動は、グローバル化、大規模化の流れの中、大きな予算を要する巨大プロジェクトとなっています。講演の中で鈴木氏は「研究の推進には国民の理解を得ることが必須」とし、KEKが講師として職員を全国に派遣するプロジェクト「KEKキャラバン」についても紹介しました。

 

最後の講演は、宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 教授 川口淳一郎氏による『世界初 小惑星探査機「はやぶさ」 60億km宇宙往還の旅』でした。川口氏は90分に及ぶ講演で「はやぶさ」が宇宙へ旅立ち、幾多のトラブルを乗り越え、満身創痍になってカプセルを地球に送り届けた壮大なドラマを、余すこと無く伝えました。「はやぶさ」の後継プロジェクト「はやぶさ 2」は、事業仕分けにより一度は予算がほぼゼロまで削減されましたが、今回のミッション成功で予算が復活。このことにつき川口氏は「もしも失敗していたら、どのように捉えられていたか考えると恐ろしい」と述べ、科学技術への挑戦が成果のみで判断される傾向に対する懸念を表明しました。また、はやぶさの今回の偉業についてNASAが決して「世界初」という表現をしなかったというエピソードを紹介。科学者が「世界一」を目指すことの大切さを強調しました。

 

最後に、高柳雄一 多摩六都科学館館長をモデレータとして、3名の講演者と京都大学 教授 野田 章氏によるパネルディスカッションを実施。会場からは、回答しきれないほど数多くの講演者に対する質問が集まりました。野田氏は「今日の講演で感じたことは、本物の迫力に触れることの大切さ」と述べ、シンポジウムを締めくくりました。