2016年8月10日

ILC東京イベント2016に参加してきました

 

先日、7月27日に六本木の国際文化センターで開催された「ILC東京イベント2016 - 100万人に伝えるために-」に参加してきました。


このホームページの「協議会について」にも書かれていますように、人類が古代から抱く根源的な謎「宇宙の創生と未来」、「自然の最も基本的な摂理」、「生命とは? 物質とは? 時間空間とは?」の解明に挑戦し、そのモデルケースとなる国際リニアコライダー計画(ILC)の実現に日本が積極的にチャレンジすることで、科学と技術への挑戦意欲の回帰が促され、若者に夢と誇りが生まれるものと期待し、AAAはこれまでも様々な活動を行ってきました。


今回のイベントは、各界のインフルエンサーをお招きし、ILC計画について知っていただくとともに、業種の垣根を超えたネットワーキングを促進し、ILC計画の実現に向けて活動全体の盛り上げをはかるため、リニアコライダーコラボレーション・ディレクターのリン・エバンス博士と、同副ディレクターの村山斉博士にILCに関する講演を行っていただくことから始まりました。


村山博士のお話は、人類が古代から抱く根源的な謎に挑戦するためにはタイムマシンがあれば良いとの指摘から始まり、光の速度が限られているので、遠い星を観察することは過去を見ることになり、実はタイムマシンで過去に行くのと同じことだとし、ビッグバンの時の写真も撮れていることを紹介しました。ただし、その写真は宇宙が始まってから38万年後の様子であり、それ以前の様子を探るためにはビッグバン直後に活躍していた素粒子を加速器によって作り出す実験が必要であると説明しました。


一方、宇宙の観測からは、現在我々が知っている宇宙を構成していると習ってきた原子の5倍にものぼる見えない未知の存在があり、その存在がなければ銀河や星、ひいては人類も存在できないことが判明してきたことを紹介しました。その見えない存在が「ダークマター」です。ダークマターを「過去において生き別れた母」にたとえ、その正体に迫るのがILC計画であると、その役割を説明しました。村山博士は、最後に人類の根源的な謎に挑戦することが、国や人種の枠を超えた営みであるため、ILCが国際平和の鍵になっていくことへの期待を示しました。


リニアコライダーコラボレーション・ディレクターのリン博士は、村山博士の講演を受け、現在、素粒子物理学の分野で最も大きな国際共同研究を行っているジュネーブにある欧州合同原子核研究機関・CERN(セルン)の実例を示すことで、ILC研究所が世界に果たす役割を説明しました。CERNは現在、研究はもちろんですが、教育とイノベーションという3本柱を掲げて活動をしているとのことです。研究では近年では、もちろんヒッグス粒子の発見ということが大きいのですが、本人はおっしゃりませんでしたが、そのヒッグス粒子を作り出す加速器、大型ハドロンコライダー・LHC(エルエイチシー)を作り上げたのは他でもないリン博士ご自身でした。余談となりますが、CERNは標準理論に登場する弱い力を媒介するウィークボソンの発見で1984年にも当時の所長であったカルロ・ルビア博士と加速器の設計を行ったファン・デル・メーア博士がノーベル賞をとりました. CERNはその発見を受け、電子と陽電子の衝突により精密に測定するためにウィークボソンを大量に作り出す大型電子陽電子衝突型加速器・LEP(レップ)に移行しましたが、それを指導したのもリン博士でした。


研究で数々の成果を上げてきたCERNですが、研究の継続のためには研究者のスムーズな世代交代が不可欠なため、教育にも力を注いできました。物理学、加速器科学、計算機科学などの複数の大きなスクールを長年にわたり実施し、数多くの後進を育ててきたばかりではなく、特に、そうした若い世代に影響力を持つ理科の教諭へのスクールも実施しています。講演では、残念ながら日本からの教諭の参加数がとても少ないとの指摘もありました。また、WWWに代表されるイノベーションの例や、その発展系でもあるグリッドと呼ばれる世界中の研究所にあるコンピューターをつなぎ、どのCPUを使っていると意識することなく計算のためのリソースが使える仕組みの開発も紹介しました。


リン博士、村山博士の講演を始めて聞いた招待者は、口々にわかりやすかった、こんなことが世界で起きていたなんて、そして、日本にCERNのような世界的な広がりを持つ研究所ができてほしい、との声が聞かれました。講演会の後には、懇親会も開かれ、両博士との撮影に興じられる方もいらっしゃり、今回、素粒子物理学という世界を初めて見て、聞いてくださった方々との交流を深めることができました。


この講演会が始まる直前には、サイエンス×ハローキティ・グッズのお披露目もありました。ハローキティがILCのクライオモジュールに乗っかり、素粒子物理学の式を背負っているというデザインのTシャツ、クリアファイル、ボールペン、キーホルダーの販売が開始されるというアナウンスでした。リン・村山両博士は早速、見本のTシャツを着て記念撮影をしました。このサイエンス×ハローキティ・グッズの購入方法については、AAAのホームページからもすぐにお知らせがあると聞いています。


届け、ILC。100万人の日本人に!


順風奔放