2016年6月9日

欧州リニアコライダー研究会 産業セッション

 

 2016年5月30日~6月5日、スペイン サンタンデールで欧州リニアコライダー研究会が開催されました。欧州地域の研究会ですが、世界のリニアコライダー研究者が集まってリニアコライダーの物理や技術開発、計画の状況について、議論や情報交換を行います。サンタンデールはスペイン北部の海岸沿いの保養地です。研究会はスペイン王族の別荘だった、マグダレーナ宮殿で開催されました。日本から行くには、最低でも飛行機を2回は乗り継ぐ必要があるなど、行くのは大変でしたが、季候も景色もよく、快適な滞在でした。(私は広島->羽田->フランクフルト->ビルバオまで3回乗り継ぎ、ビルバオ空港からサンタンデールまでバス乗り継ぎで2時間。往路は30時間以上かかりました。)

研究会の会場となったマグダレーナ宮殿


 今回、リニアコライダー研究会では初めての試みとして、産業セッションが企画されました。リニアコライダーや国際核融合炉などの大型科学プロジェクトについて、日本とスペインの科学産業の協力体制の構築と強化を目指した会合です。先日5月13日に東京のスペイン大使館で開催された「スペイン&日本 核融合・加速器の技術開発およびプロジェクト協力強化ワークショップ」に続く第2回という位置づけでもあります。本コラムでも報告したとおり、東京の会合は、多くのAAA会員企業と日本の研究者が出席し、スペインの企業関係者有意義な情報交換ができました。今度は場所をスペインに移し、世界各国から集まったリニアコライダー研究者も交えて次のステップを目指しました。

 6月1日、産業セッション当日の午前中は、サンタンデール近郊の企業見学でした。サンタンデールのあるスペイン北部は、国内でも有数の産業地帯だそうです。見学したうちの1社は原子力プラント企業。大型設備の組み立て現場を直接みる機会はそうあるものではなく、出席者一同その迫力に感心しました。 午後は研究者と企業を交えた合同セッションです。スペイン貿易投資庁(ICEX)のジェネラルマネージャーIsaac Martin Marbero氏の挨拶に続き、ILCの紹介、スペインと日本の科学産業と大型計画に関する講演が続きました。日本からはKEK/CERNの山本明氏による、ILCの技術的観点からの紹介、東京大学の山下了氏による計画の状況の紹介に続き、松岡AAA事務局長が日本の産業とILCの関わりについて講演、ILCの裾野の広さと産業界との深いつながりがよく分かる講演でした。その後、日本から参加した、三菱重工、大陽日酸、三菱電機の3社の方が、それぞれの企業について紹介しました。

 東京にも来られたJavier Caceres氏が駐日スペイン大使館でのワークショップの報告をされた後、予定では、今後の継続的発展をテーマにパネルディスカッションを行う予定でしたが、時間が押していたために割愛し、スペイン側の研究者として産業セッションの企画に携わってきたJuan Fuster氏がまとめの講演を行いました。パネルディスカッションはできませんでしたが、前日に時間をかけて今後のことを話し合っていました。結論を言うと、東京、サンタンデールと2回の会合を企画したメンバーが継続して議論を重ね、具体的な行動案を検討するということになっています。

 セッションの最後に、講演者全員に日本―スペイン交流400年を記念した10ユーロ硬貨が配られました。私もセッションのお手伝いをしたと言うことで、いただきました。出席された企業の方の中には、セッション当日の午後ビルバオ空港に到着し、タクシーで会場へ。講演をこなした後は深夜12時近くまで夕食会。翌日はセルン見学のためにジュネーブへ移動という、大変なスケジュールだった方もいらっしゃいます。お疲れ様でした。


講演者に配られた日本―スペイン交流400年記念10ユーロ硬貨


 産業セッションは、日本―スペインと銘打っていたにもかかわらず、リニアコライダー研究会に出席していた多くの研究者が会場に来ていました。(同時通訳が日本語―スペイン語だったのはご愛敬です。)講演の中で本年10月末にフランスのストラスブルグで開催される、IEEE核科学シンポジウム/医療イメージングカンファレンスで、AAAが企業展示ブースを確保しているとの話がありました。次の具体的な活動になると期待しています。AAAの会員企業に方々にも近いうちに内容をご紹介できると思います。

 


広島大学

高橋 徹

広報部会副部会長