2008年11月01日

ガンダムと加速器

 

 

 『加速器って一般の方には馴染みがないから、理解してもらうのが大変だね。』

 『でも、ガンダムには初めから加速器が搭載されているのですよ。ご存知ですか?』

 過日の協議会事務局会議は、「ガンダムと加速器」の話題でひとしきり盛り上がった。

 ガンダム世代の筆者にとっては、「ビームライフル」や「メガ粒子砲」が加速器でミノフスキー粒子(もちろん架空の粒子ですが)を加速して打ち出していることなど常識なのですが、御本人曰く「鉄腕アトム世代」、の事務局長などは30年も前にアニメの世界で加速器を取り入れていたことに感心することしきりといったご様子。

 確かに、20世紀に産まれ、次々と新しい素粒子を発見しては科学法則の解明を行い、21世紀には素粒子、宇宙だけではなく生命の謎をも解き明かす鍵となる加速器・・・ですが、世間的にはほとんど知られていません。加速器というと、『何を加速するの? サイボーグの加速装置のこと? 日本にもあるの? 何の役に立つの?』等々の疑問がすぐに聞こえてきます。

 そこで、この話は使えると、折しも国際ガンダム学会準備会議が広島で開催されると聞きつけた広報部会の発案で、広島大学の高橋先生に「ガンダムと加速器と未来社会」の題目で発表をしていただきました。講演では、「ビームライフル」や「メガ粒子砲」の話をきっかけに、先端加速器が挑戦する宇宙創生の謎と技術革新を紹介いただきました。会議の模様は高橋先生のブログ「物理屋往復書簡」に掲載されていますので、是非ご覧ください。

 ところで、来年はガンダム生誕30周年だそうです。その5年前に提唱され、今年のノーベル物理学賞となったのが小林・益川理論ですが、お二人の理論は当時ようやく定着しつつあった素粒子の理論の大きな枠組みを決定付けました。ガンダムのミノフスキー粒子は、そうした素粒子的宇宙観を先取りする形でアニメに登場し、当時こそ一般にはほとんど知られていない加速器を用いたビーム砲へと発展するのです。改めてガンダム作者の先見性と慧眼に驚かされます。

 近年、5次元や6次元といった高次元の存在の可能性や、マイクロブラックホールの生成の可能性、宇宙にひろがる未知の物質・ダークマター、そして宇宙を加速的に膨張させているダークエネルギーなど、SFの世界かとみまがうような話が研究されています。こうした研究の話題がSFやアニメを刺激し、逆に想像の世界から思いもつかないような形での宇宙の謎の解明へのヒントが与えられるかもしれません。そうした新たな世界へと人類を導いていくのが、「先端加速器」なのです。

 

(順風奔放)