2008年10月06日

LHCで「ブラックホール」ができる?

 

 

 スイスとフランスの国境、国連の機関が集まるジュネーブにあるCERN (セルン)研究所で、もうすぐ宇宙の謎にせまるLHC(大型ハドロン衝突型加速器)実験が始まります。LHCは、人工的なものとしては、これまでで最高のエネルギーで素粒子同士の反応を創り続けることができる画期的な装置になります。つまりは、宇宙の誕生直後と同じ状況のミニミニ版の宇宙を人工的に創れるようになるのです。それでは、エネルギーの密度が上がると何が起こるのでしょうか?

 大いに期待されているのが、全ての素粒子の質量(重さ)の元となる「ヒッグス粒子」や、宇宙の暗黒物質(ダークマター)の正体とも予想されている新しい素粒子「超対称性粒子」の発見です。これらは正に現代の素粒子物理の王道ともいうべき最重要の研究対象ですが、他にも様々な新しい現象が多くの研究者によって予想されています。その中のひとつが「人工的にブラックホールを創れるのではないか?」という予想です。研究者はこの「人工ブラックホール」を加速器で創ることができるわずかな可能性にも注目しています。
それはなぜかというと、もし「人工ブラックホール」をLHCで創ることができれば、それはこの宇宙に人類が知覚できない5次元目、6次元目が存在するということのひとつの証明になるからです。

 けれども、「ブラックホール」と聞くとびっくりする人もいるでしょう。普通は何でも吸い込んでしまう宇宙の墓場のようなイメージがありますから。
「ブラックホール」という名前が全てを吸い込むというイメージを喚起するものだったから心配する人もいたとのことですが、試験の安全性については、研究者がきちんと説明していますので、ご安心下さい。
例えば、http://www.kek.jp/ja/news/topics/2008/LHCsafety2.html を参照してください。

 ここでいう「ブラックホール」というのは、宇宙にある天体のブラックホールとは全く違うものです。できたとしても、ほんの一瞬で消えてしまう線香花火のようなもので、廻りの物を吸い込むことなど全くできません。ブラックホールの蒸発という現象で、これはホーキング博士が提唱したものです。その消える時に出てくる多くの普通の素粒子を測定器で捕らえることで「ブラックホール」ができたことを見つけます。この「ブラックホール」は象徴的な現象ですが、これ以外にも4次元を超える時空を探る方法はたくさん提案されています。LHCで人類の常識を覆す発見がなされることを世界の研究者は願っているのです。

 

(了山泊)