ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

最新情報

2018年08月08日

「日本の決断」強い期待/ILC計画でノーベル物理学賞2博士が会見

建設通信

【総額10年で最大8033億】
ノーベル物理学賞を受賞したシェルドン・グラショウ博士とバリー・バリッシュ博士は7日、日本外国特派員協会で会見し、世界が注目する国際プロジェクト「国際リニアコライダー(ILC)計画」について、日本がこの国際プロジェクトを推進する決断をすることに強い期待を表明した。 会見に先立ち、東大素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は、構想を進める研究者組織を代表して、建設にかかる加速器や研究施設整備費、研究者人件費、測定器関係費の総合算額が10年間で7355億円から8033億円との試算を初めて公表した。このうち日本の負担は51%。また山下特任教授は計画実現の基本原則として、▽予算は学術・科学技術・大学予算の枠外措置▽政策横断・省庁横断推進体制▽海外(欧州・北米とアジア諸国中心)が5割近い分担投資をする条件を明示し段階的に推進--を前提条件に挙げた。
ILC(大規模な素粒子衝突実験装置)は、地下約100mのトンネルに設置する直線型の電子と陽電子衝突加速器。具体的には、正反対方向から直線上に光速近くまで加速して正面衝突させ、そこから起きる素粒子反応を研究する。宇宙の始まりである「ビッグバン」から1兆分の1秒後の状態を人為的に再現できる。ヒッグス粒子の存在を突き止めた欧州合同原子核研究機関(CERN)の世界最大円形加速器が第3世代だとすると、ILCは次世代の第4世代に当たり、宇宙の成り立ちが解明される可能性がある。
会見で費用負担が多額になることについてバリッシュ博士は「施設は長期的に幅広く使われる。データは1000人規模の研究者が共有することになり、研究者1人当たりの費用では他の事例の半分程度」と強調した。両博士は5日にお茶の水女子大で開かれた「ILCが開く科学の未来」と題したILC推進国際シンポジウムで講演していた。
日本の主導で日本国内にILCを建設する決断に期待を示したのは、日本誘致の判断について日本政府が留保していることが背景にある。また、知財戦略を鮮明にする中国も大型円形加速器建設事業を進めていることも1つの理由と見られる。