ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2015年05月23日

<ILC>「心臓部」コスト低減へ新技術

河北新報

超大型加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の心臓部と言われる超電導加速空洞の製造に不可欠な「電解研磨」の大幅なコスト削減に、表面処理加工業 のマルイ鍍金(めっき、兵庫県姫路市)の東北工場(八戸市)が挑んでいる。岩手、宮城両県境にまたがる北上山地へのILC誘致に向けて、同社は「東北発の 技術で誘致を後押ししたい」と意気込む。

加速空洞は希少金属のニオブ製で長さ約1メートル。ILCでは1万7000台以上をつなげて使う。全長31キロの直線トンネルの両端から、ほぼ光速まで加速した電子と陽電子のビームを正面衝突させるため、ナノメートル(10億分の1メートル)単位の精密さが求められる。

「電解研磨」は、加速空洞の内部を溶液で満たして電流を流し、電気分解の効果で金属表面を磨く技術。ニオブには通常、劇物の濃硫酸とフッ化水素酸の混合液を使うが、高価なテフロン材料や強酸用の保護具、廃液の中和処理が必要で、作業の安全性と設備コストが課題だった。

同社は3年前から技術開発に着手。高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)と連携し、薬品選びや溶液の温度、電流の強さなど最適な条件の絞り込みを進めてきた。

東北経済連合会の事業化支援組織、東経連ビジネスセンターの本年度支援事業に選ばれ、岩手大工学部の八代仁教授(表面処理)との共同開発がスタートした。今後1年で研磨液の開発にめどをつけ、最終的には新たな研磨システムの構築を目指す。

電解研磨は加速空洞の生産コスト全体の10~15%を占める。同社は新技術の開発により、研磨コストを少なくとも2分の1、最大で10分の1程度に抑えられるとみている。

国際協力で建設するILCは、加速空洞を日米欧が分担して生産する計画。マルイ鍍金の井田義明社長(72)は「今の生産コストでは欧米との価格競争に勝て ない。東北に拠点を置く企業として、東北が震災復興から次の飛躍に向かうため、ILCの誘致実現に貢献したい」と話している。