ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2014年08月20日

未来へのアルピニズム ILC誘致夢と現実(8)【日本学術会議ILC計画フォーラムより】

胆江日日新聞

重点多い事前準備 ILC計画推進の国際体制(駒宮 幸男氏)

素粒子物理学実験は冷戦時代から国際協力が日常的だった。わが国も多くのプロジェクトに参加し、多くの成果を上げてきた。この分野における国際協力の経験と実績は十分にある。
さて、国際将来加速器委員会(ICFA)にはこれまで、「ある地域や国が素粒子実験のための加速器を建設した場合、他の地域や国が実験に参加するときは、運転経費などを強要してはならない」という規定があった。
ところが、加速器の大型化や建設コストの巨額化に伴い、一国や一地域で資金調達能力をはるかに超える金額になっている。主要な加速器は地球規模の事業と位置付け、世界に1基のみ造り、重複を避けることが必須になってきた。
とりわけILCの推進を考慮するため、ICFAは昨年、ガイドラインを変更した。すなわち「原則は自由に使っていいが、大型の地球規模の施設に関しては、 事前に事業のパートナーとの間で運転経費の分担を決めるべきだ」とした。ILCは非常に大きな国際プロジェクトなので、運転、建設、運用の事前交渉は特に 重要だ。
世界は日本の動きに注目している。アメリカは最近、素粒子物理将来戦略(通称・P5)を発表し、ILCを重要なプロジェクトと位置付けた。今までアメリカは自国中心の考えが強かったが、P5ではグローバルな視点が強調されている。
日本では現在、文部科学省においてILC誘致の是非を検討中だ。世界の研究者界では「リニアコライダー国際推進委員会(LCB)」が、ILC研究所の将来形式を検討する作業部会を作った。
このILC研究所の運営と組織形態をどうするかという話は極めて重要だ。例えば、世界の物理研究所の機能をILCだけに一極集中させるわけにはいかない。 各地の研究所の運営を担保しつつ、ILC研究所の組織運営をやっていくというバランスが必要になる。これまでのさまざまな大型国際プロジェクトの運営形態 を精査し、ILCに適した姿を提案してもらう予定だ。
(有本建男氏の講演につづく)