ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2014年06月24日

国民理解形成が鍵 意義や課題、多角的に(日本学術会議がフォーラム)

胆江日日新聞

北上山地への誘致が期待される素粒子実験施 設「国際リニアコライダー(ILC)」について、多様な学問の観点から意義や課題などを探るフォーラムが23日、東京都港区の日本学術会議講堂で開かれ た。素粒子物理学者が真の国際研究拠点となるILCの建設意義や現状の取り組みを説明する一方、社会学の専門家は国民理解の形成が重要になると指摘。宇宙 の謎を解き明かす「夢」と巨額な予算や人材が求められる「現実」に対応する上でも、候補地周辺や一部関係者で高まっている熱意が全国的にも波及し、広がり を見せる必要性を浮き彫りにした。

フォーラムを主催した学術会議は昨年、文部科学省の審議依頼を受けILCに関する所見をまとめている。日本でILCを実施し高い成果を挙げるためにも、諸条件を余すことなく検討し、学術界や広く国民の理解を求めることが必要――としている。
今年5月、文科省内に国内誘致の是非判断に向けた有識者会議が組織された。これを契機にILC計画の意義と課題について、あらゆる観点から探る場を設けた。
研究者のほか、本県をはじめとする東北の誘致関係者ら200人余りが来場。フォーラムでは、ILC計画推進の最前線に立つ素粒子物理学者3人と、社会学や行政、環境などの専門家3人が登壇した。
このうち、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構長の村山斉氏(素粒子理論)は、ILCが目指す研究内容などを分かりやすく解説。「ILCには科学者だけで なく、高校生たちも非常に興味を持っている。『一体何に役立つのか』と問われるのは当然かもしれないが、次世代の優秀な人材を育てるという大きな意義があ るプロジェクトだ」などとアピールした。
一方、東京工業大学名誉教授の今田高俊氏(社会学)は、人文社会学の観点から国民の合意形成の在り方な どに触れた。「宇宙の謎を探る『夢』は素晴らしいが、莫大な費用や人材が必要という『現実』がある。国民の多くはILCという計画が存在すること自体、よ く分からないだろう。いかにプロジェクトの有益性を啓発し、説得するかという戦略が必要だ」と訴えた。
聴講した奥州市議会ILC特別委の渡辺忠委員長は「まさに、市民に理解をしてもらうことは最も重要なことだ。社会学的な観点からILC誘致と市民生活との関係についても議会として関心を深め、市民にお伝えできるようにしなければいけない」と話していた。