ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2014年01月04日

国内候補・北上山地今年の展望(上)文科省内に作業部会

河北新報

超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致を目指す東北にとって、2013年は節目の年だっ た。研究者組織が8月、岩手県南部と宮城県北部にまたがる北上山地を建設候補地に決定し、北上山地に特化した設計に着手した。10月には「ヒッグス粒子」 の理論提唱者がノーベル賞を受賞、同粒子を調べるILCへの期待が高まった。誘致の是非を判断する国は2、3年後とされる最終決定に向けて始動。14年は 誘致実現へ向け、土台をさらに固める大事な年になる見通しだ。ILCをめぐる動きを追い、展望を探った。

<「世界唯一の地」>
「北上山地は世界で唯一の候補地だ」
ILCを推進する研究者の国際組織リニアコライダー・コラボレーション(LCC)が昨年10月、奥州、一関両市で行った現地視察会。最高責任者のリン・エバンス氏(英国)は視察後、満足そうに語った。
佐賀、福岡両県の脊振山地との誘致合戦の末、昨年8月に北上山地は国内候補地に選ばれた。海外の研究者の間では、産学官による誘致運動が進む日本への期待が高まり、日本のどこが候補地になるのかが注目されていた。
エバンス氏は「今後は北上山地に限って建設を検討する」と技術的準備を急ぐ考えを強調。「国際交渉に向け日本政府の意思表示が必要だ」と国が早期に誘致を決断するよう訴えた。
科学者側の動きに合わせ、文部科学省は14年度予算案にILCの調査検討費5000万円を初めて計上した。日本学術会議に明示するよう求められた詳細な事業費の積算や、経済波及効果といった検討課題の基礎データを収集する。

<大きな負担警戒>
今月中にはILC計画の省内タスクフォースに作業部会を設置する。中立的な立場の素粒子物理学者や経済学者ら10人程度で構成し計画を検証する。国内外の素粒子物理学の国際会議などに職員を派遣し、国際的な人脈づくりも進める。
約8300億円とされる建設費の分担をめぐり、実際の国際交渉では厳しい曲面も予想される。同省の成相圭二加速器科学専門官は「誘致に積極的な姿勢を見せすぎると日本の持ち出しが多くなりかねない」と警戒。日本の意思表示の時期や方法を慎重に検討する。
国内候補地が北上山地に決まり、岩手、宮城両県の自治体などは、国際的な都市づくりや産業振興に向けた課題を検討し始めた。

<岩手県が視察も>
岩手県は昨年9月、庁内に作業部会を設置。研究者の子どもたちが通うインターナショナルスクールや外国語対応の医療サービスの在り方などを検討する。
加速器本体の建設や関連機器類の製造などに地元企業がどう参入できるのかを模索する動きも活発化しつつある。岩手県などは加速器を開発している高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)での視察会を予定している。
岩手県政策地域部の千葉彰ILC推進監は「国への働き掛けを含め、実現に向け取り組む。日本誘致が決まった場合、すぐに動けるように準備を進めたい」と意気込む。