ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

最新情報

2013年02月05日

国際リニアコライダー:夢の施設、九州誘致へ産官学連携

毎日新聞

 宇宙誕生の謎に迫る素粒子分野の国際研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」を福岡、佐賀両県にまたがる脊振(せふり)山地に誘致しようと、両県と九州の経済団体、九州大などが推進協議会を今年度内にも設立する計画が分かった。九州大の有川節夫学長と、九州経済連合会の松尾新吾会長(九州電力相談役)が共同代表に就任し、九経連に事務局を置く見通し。国内では東北・北上山地も候補地として名乗りを上げており、誘致合戦が本格化しそうだ。

 関係者によると、施設は国際共同研究施設として世界で1カ所開設することになっており、候補地として日本のほか、米国や欧州が挙がっている。国内の候補地は研究者らが今年7月に科学的に評価して一本化。国は誘致するかどうかを含めて検討し、最終的に政府間協議で決定するという。

 建設費は8000億円程度が見込まれる。世界中から第一線の研究者、スタッフとその家族も含め数千人規模が集まり、国際研究所や住居などの設備が整う学術研究都市となる。脊振山地に建設する場合、経済波及効果は建設時の8年間で1兆1000億円という。2020年代中ごろの稼働が想定されている。

 これまでは福岡、佐賀両県などが、先端基礎科学次世代加速器研究会を設けているが、誘致本格化のために推進協議会を新たに設置する。両県民向けの講演会やパンフレットによる啓発活動、政府への要望、誘致に必要な都市機能調査、ILCを核とした地元産業振興戦略などを検討する見通しだ。

 今月18日には、専門家による講演会が、九経連や福岡経済同友会、福岡商工会議所、福岡県経営者協会などの主催で福岡市で開かれ、機運を盛り上げる予定。松尾・九経連会長は「脊振山地の地盤は硬く、周辺は交通などのインフラも整っている。しっかり取り組みたい」と話している。

 東北では昨年7月、東北大と東北経済連合会、岩手県などが推進協議会を設立。東日本大震災からの復興の象徴的なプロジェクトとして誘致活動を展開している。【中園敦二】
 ◇国際リニアコライダー

 リニアは直線、コライダーは衝突加速器の意味で、電子と陽電子を衝突させる次世代加速器。硬い岩盤の地下に長さ30〜50キロの直線トンネルを設置する。電子と陽電子を光速近くまで加速して衝突させ、ビッグバン直後の宇宙を再現し、発生する素粒子を測定、解析して宇宙の起源などの謎に迫る。