ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2013年10月16日

ILC計画 科学技術立国へ導く新たな道筋(東京大学で国際シンポ)

胆江日日新聞

国際リニアコライダー(ILC)計画の学術的意義や科学技術立国への新たな道筋について考えるシンポジウムが15日、東京大学で開かれた。ILC実現に は幾多のハードルが控えるが、海外研究者らがILCがもたらす計り知れない効果について触れ、あらためて日本への建設実現に期待を込めた。会場には、 ILC向けに設計された「超電導加速空洞」の試作品も展示され、来場者の注目を集めた。

8月に北上山地がILC国内候補地に決定して以来、初めて開かれるシンポジウム。「宇宙の謎に迫れるか! 国際リニアコライダー計画」をテーマに、学術的意義や産業面からの期待などについて理解を深めた。
前半は東京大カブリ数物連携宇宙研究機構長の村山斉氏と、三菱重工取締役会長の大宮英明氏が基調講演した。
村山氏は、難解にとらわれがちな素粒子物理学や加速器研究について、「宇宙はどうやってできたのか、私たち人類はどこからきたのという子どもが思うような 素朴な疑問をターゲットにしている」と切り出し、加速器を使った実験やノーベル物理学賞で話題となった質量を生み出す素粒子「ヒッグス粒子」について分か りやすく説明した。
大宮氏が会長を務める三菱重工はILCに使用する「超伝導加速器空洞」の開発に携わっている。大宮氏は「ILCはさまざまな分野の工学、土木業種の力を必要とする」などと述べ、日本の産業界が大きな役割を果たすことになると強調した。
ILCは電子と陽電子をほぼ光速の状態に加速し、その衝突現象をとらえる精密実験措置。電子、陽電子が駆け抜ける通り道が「超電導加速空洞」で、シンポジウム会場には同社が手掛けた試作品が展示され、来場者の注目を集めていた。
ILC実現に向けては今後、国際間交渉による費用分担や人材確保などの課題を2、3年かけて協議、解決していく流れ。国際交渉が順調に進んだとしても建設までに約10年の歳月が必要となる。
パネルディスカッションで登壇した宇宙飛行士の山崎直子氏は、国際宇宙ステーションの構想から建設、完成までにも相当の年月を要したことを例示。その上で「ILCには科学だけでなく産業や外交など幅広い分野が関わる。いろいろな可能性を秘めた事業だ」と期待を込めた。