ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2013年10月09日

東北のILC誘致に弾み ヒッグス教授らノーベル物理学賞

河北新報

今年のノーベル物理学賞に、英エディンバラ大のピーター・ヒッグス名誉教授らが決まった8日、ヒッグス粒子を調べる次世代の超大型加速器「国際リニアコ ライダー(ILC)」の誘致を目指す宮城、岩手両県など東北の関係者からは「ILCの誘致実現に弾みがつく」と期待の声が上がった。

「ヒッグス粒子の発見は、素粒子物理の全く新しい時代を切り開いた」。東北大大学院理学研究科の山本均教授は、ヒッグス氏らの偉業をたたえた。ILCの国 内建設候補地に、岩手県南部と宮城県北部にまたがる北上山地を選ぶ作業にかかわった山本氏。「理論的にはまだ矛盾が多いヒッグス粒子を詳細に調べることが できるのがILCだ。宇宙の成り立ちに迫る新しい時代が来る」と力を込めた。
北上山地への誘致を目指す岩手県の担当者も今回の受賞を歓迎する。大平尚・首席ILC推進監は「次の段階を探るものとして、ILCの必要性がより高まった。建設実現に向けて今後も準備したい」と述べた。
東北6県でつくる産学官組織、東北ILC推進協議会事務局の細越健志ILC課長は「素粒子物理への世界的な興味や関心が高まり、ILC誘致の弾みになる。政府が実現に向けて動きだすよう、期待したい」と強調した。

◎粒子発見の加速器LHC/日本企業の技術が貢献

ヒッグス粒子を発見し、ノーベル賞を後押しした加速器LHCには、多くの日本企業の技術が使われている。実験には東京大や高エネルギー加速器研究機構などの100人以上が加わり、データ解析に活躍した。
LHCは、欧州合同原子核研究所(CERN)がスイス・フランス国境に設置した円形の加速器。宇宙誕生直後の状態をつくり出すため、JR山手線の大きさに匹敵する1周27キロのトンネルで、ほぼ光速に加速した陽子同士を互いに逆方向に走らせ正面衝突させる。
陽子の加速と衝突には強い磁力を放つ超電導磁石が必要だ。古河電気工業(東京)は超電導ケーブルを、東芝(同)は陽子を正確に衝突させるための磁石を納入した。関係者は「日本の技術なくしてLHCはできなかった」と話す。
陽子同士をぶつけ、飛び出す無数の粒子からヒッグス粒子の跡を探す。二つある検出装置のうち、日本が加わる「アトラス」は高さ25メートル、重さ7000 トンの巨大な装置だ。その心臓部となる部品には、浜松ホトニクス(浜松市)の半導体検出器が使われた。同社の検出器は性能や品質が高く評価され、アトラス と競い合う検出装置「CMS」でも採用された。
アトラスの実験チームには世界から約2900人が参加。日本から信州大や名古屋大などの研究者も加わった。若手を中心に約40人が現地に常駐して解析に当たった。
日本チーム共同代表の小林富雄東京大教授は「日本の企業や研究者の貢献は大きいと評価されている。皆が『やろう』とまとまった結果だ」と話している。

<ヒッグス氏らの授賞理由>
ヒッグス氏ら2人へのノーベル物理学賞の授賞理由は「素粒子の質量の起源に関するメカニズムの理論的な発見」。
スウェーデンの王立科学アカデミーはさらに「欧州合同原子核研究所(CERN)の加速器LHCを使った最近の実験で、アトラス検出器とCMS検出器によって予言した粒子が見つかり、発見が確かなものになった」とした。