“ILC国際リニアコライダー”とは

2013年5月8日

RKB News

動画

●池尻キャスター
「ILC・国際リニアコライダー」とは、一体、どういったものなんでしょうか?ILCは、日本語に訳すと、国際・直線型・衝突加速器という意味なんだそうです。

●川上キャスター
どんな施設で「宇宙の謎」を解明しようとしているのか、そして、2人の知事がそろって誘致活動をする理由は何なのか、ILCを詳しく説明します。

●市民
Q「国際リニアコライダー」って聞いたことありますか?
「ありません。ありません」
「何ですか、それ。リニアモーターカーは聞いたことあるけど」
「えっ、嫌じゃない?」
「危なくないんですか」

「ILC・国際リニアコライダー」とは、全長が30キロから50キロに及ぶ直線状の地下トンネル内に設置される超大型の装置です。

両端からそれぞれ、電子と陽電子のビームを発射し、光の速さに近い超高速で衝突させて、宇宙の始まりとされる「ビッグバン」直後の状態を再現。

宇宙ができた過程などを解明しようというものです。

国際宇宙ステーション、国際熱核融合実験炉とともに、「21世紀の人類3大プロジェクト」と言われる巨大な施設で、福岡県や佐賀県などは、県境の脊振山地にILCの誘致を目指しています。

●九州大学経済学研究院・髙田仁准教授
「建設期間で大体、10年弱、8年ぐらいはかかると言われていて、その間のトータルの経済波及効果が1兆1000億円。そのうち、九州内に波及すると言わ れているのが3400億円なんですね。それから8年ぐらいの建設期間を経て、その後、実際に稼動が始まるんですけれども、その稼動している期間というの は、1年あたり大体、日本国内で600数十億円。そのうちの九州は460から490億円。500億円ぐらいの経済波及効果があるというふうに算出されてい るんです」

経済効果だけではありません。

ILCが完成すれば、外国人研究者とその家族などおよそ5000人が、施設の周辺に住むことが予想されます。

ちなみに、現在の九州大学と佐賀大学の留学生は、あわせておよそ2400人です。

●ILCアジア‐九州推進会議・松尾新吾代表
「日本全体の活性化、とりわけ、現地の九州は、一変するような変化を遂げるんじゃないかなというふうに思います。国際学術都市、あるいは国際研究都市とも 言われてますけれども、それが大きく形成されると。単なる経済効果だけじゃなくて、文化的なレベルっていうかね、そういうのも、当然、高まってくるでしょ うし」

ほかにも、世界最先端の研究の過程で、これまでにない新しい技術が生まれる副次的な効果も期待されています。

例えば、今では当たり前となったウェブの技術。

これは、スイスの世界最大規模の素粒子物理学の研究所で、本来の研究内容とは別に、スタッフ同士のデータのやり取りを円滑に進めるために、開発されたものだということです。

●九州大学経済学研究院・髙田仁准教授
「新しい発見をやろうとして、それに伴って、いろんな付随する技術開発がものすごい勢いで進みますんで、それが最終的に産業として波及してくるっていうこ とが、非常に大きく期待されているわけですね。ILCを日本に誘致できた暁には、日本の産業・モノづくりの非常に強いところが伸びる可能性がありますの で、そこは大いに期待したいところですね」

一方、誘致に向けた課題です。

まず、ILCの建設費用は、およそ8000億円と言われていて、半分にあたるおよそ4000億円は立地国の負担になります。

ちなみに、佐賀県の今年度の一般会計の当初予算は、およそ4100億円。

自治体レベルで進められるプロジェクトではありません。

また、研究施設で消費する電力を安定供給することも極めて重要となります。

佐賀県によりますと、ILCの運用には、23万から30万キロワットが必要だということです。

すべての原発が停止した状態の去年3月末現在の九電の供給力は、およそ2355万キロワット。

ILCだけで、九電の供給力のおよそ1パーセントを消費する計算です。

九電の前の会長で、ILCを背振山地に誘致する団体の松尾代表は、安定供給に自信を見せます。

●ILCアジア‐九州推進会議・松尾新吾代表
「今、たまたま、ご存知のような状況で非常に苦労していますけど、正常な状態に戻れば、電力のインフラについては自信を持って申し上げますが、ここ以上に 安定した地域は、まずないだろうというふうに思います。だから、もし、電力が十分要るとなれば、それこそ一生懸命。電力インフラ(が原因)で、来れないな んていったら、私の恥ですから。絶対にそういうことはないと」

海外では、スイス、ロシア、アメリカのそれぞれ1か所がILC建設の候補地に挙げられています。

また、日本では、脊振地域のほかに、東北の北上地域が誘致を目指していて、7月に国内の候補地が一本化される予定です。

先に、誘致組織を設立し、震災からの復興事業としての意味合いもアピールする北上地域が、候補地選びで先行しているという見方もあります。

●福岡県・佐賀県制作の映像
「♪ILC・国際リニアコライダーは、陽電子と電子を高速でぶつけることで、宇宙の始まり、つまりビッグバンを再現する…」

国内候補地の決定までおよそ2か月。

福岡県と佐賀県は、共同でILCの誘致をPRする映像を制作して、ネット上で公開しています。

●どんたくパレード(音)

また、どんたくのパレードに参加したり、ポスターを掲示するなどして、関係者が誘致活動をPRしていますが、市民レベルでは、ほとんど知られていないというのが実情です。

●高田記者
「建設されれば、地域に大きなインパクトを与える国際リニアコライダー。誘致を成功させるためには、政財官の連携を強めるだけではなく、市民を巻き込んだ形での活動が必要だと言えます」

※スタジオ
●川上キャスター
うーん、難しいですね。

●池尻キャスター
なんか、未来に向けた大きな施設であることは、間違いないですよね。

●川上キャスター
大きな施設を使って、宇宙のできるまでの過程を解明しようという施設だというのはわかるんですが、それに伴う経済効果もたくさんあるということで、いくつかの高いハードルがあるようですが、何とかして、クリアしてもらいたいなという思いがします。