ILC PROJECT [ 国際リニアコライダー計画 ]

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2012年10月28日

脊振山地でビッグバン再現 福岡、佐賀県など大型加速器誘致へ

産經新聞

■経済効果に期待 シンポ開催

宇宙の起源となった140億年前のビッグバンの謎を探ろうと、日米欧が共同で建設する次世代大型加速器「国際リニアコライダー」(ILC)を福岡、佐賀両県境の脊振山地に誘致する動きが活発になっている。学術的ロマンだけでなく、4兆円を超える経済効果が期待されるとあり、両県などは誘致の機運を盛り上げようと27日、福岡市中央区でシンポジウムを開催した。(大森貴弘)

◇ILCは全長30キロの地下トンネルで、加速させた陽子と陽電子を正面衝突させ、誕生直後の宇宙を再現する研究施設。加速器研究の第一人者で欧州合同原子核研究所(CERN)のロルフ・ホイヤー所長は、この日のシンポで「これまで人類は宇宙の5%しか知らなかったが、ILCにより残りの95%を研究できるようになる」と話した。

活断層が無く、硬い岩盤がILC建設の条件で、脊振山地のほか岩手県の北上山地、米・シカゴ近郊、ドイツ・ハンブルクなど世界6カ所が候補地に上がっている。

今年末までに候補地ごとに施設の設計案を作り、その後、研究者らでつくる国際委員会が建設地を決定。平成32年までに着工する計画だ。建設費約8千億円は各国が出し合う。

福岡、佐賀両県と九州経済連合会などは19年に、ILC誘致を目指した研究会を設立した。安定した地盤や空港へのアクセスの良さなど、脊振山地の優位性を国にアピールし、日本国として誘致に積極的に取り組むよう要望している。

さらに両県は23年度にILC誘致のチームを県庁内に発足。九州大も10月1日に、脊振の地質調査も行う「先端素粒子物理研究センター」を開設した。

地元が誘致に積極的なのは、完成すれば世界から数千人の研究者が集まる先端学術都市が生まれ、地域経済への波及効果も期待されるからだ。CERNの場合、取引先企業は、中小企業を含め6千社に上る。

福岡県新産業・技術振興課ILC班の野田幸治参事補佐は「4兆円の経済効果はもちろんだが、壮大な研究が行われていることに九州の子供が刺激を受ければ、次世代の研究者育成にも繋がる」と期待する。

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